かじまるの人生日記

いつも幸福な人間が、その人格を考察したり仲間を探すためのブログ

脳科学と心理学から幸福について学ぶ、映画「happy-しあわせを探すあなたへ」

ここまで、アドラー、フロム、マズローという心理学から人間の成長や幸福について書いてきた。
ここで、脳科学も含めて幸福について研究したドキュメンタリー映画「happy-しあわせを探すあなたへ」について紹介する。

自分の経験と、たくさんの人間を研究してできた心理学、そして、人間の進化によってできた脳についての科学の、この3つが矛盾なく混ざり合っていることが、自分の価値観を客観的にも評価できる根拠である。

インドのリキシャーマンとアメリカ人の幸福度は同じ

最初は、インドの貧しいリキシャーマンの紹介から始まる。
仕事は辛いが、家族や隣人との関係のおかげで幸せであると言う。
そして幸福度の調査では、このリキシャーマンと一般的なアメリカ人の幸福度は変わらないという結果であった。

我々日本人からすれば、インドの貧困街に住む人々の暮らしはとても幸福には見えないだろう。
だが幸福とは、国ごとの生活水準によって相対的なものである。
インドに住む人々にとっては、人間として本質的な幸せが得れていれば、
生活水準が低くとも、先進国の人間同様に幸福を感じることができるのである。

本質的な目的と対外的な目的

本質的な目的

・自己の成長
・親密な交友関係
・コミュニティーへの貢献

対外的な目的

・お金、経済的な成功
・容姿のイメージ
・権力や地位

映画では、生きていく上での目的は本質的なものと対外的なものに分けられるとして、
本質的な目的を持っている人はそれ自体で幸せを得ることができ、
対外的な目的を持つ人は人生の満足度が低く、精神的に不安定だと述べている。
対外的な目的は、達成されても喜びは一時的で、そのためさらに多くを求めてしまい、失うことへの恐怖もある。

日本では、ほとんどの人がこの対外的な目的を中心に生きているように思う。
他人との比較では、勝ち組であるかどうかが中心的な基準であるし、
その勝ち組とされる政治家や成功した経営者や容姿を評価されている女性は、既に目的を達し、羨望の対象になっているのにも関わらず、やはりその目的が中心になっている。

これはアドラーの心理学で考えるとわかるが、対外的な目的はすなわち承認欲求である。
これを満たすには、この目的を達することではなく、ただの人間としてありのままを受け入れられることが必要だということだ。


ずっと知りたいと思っているのは、この目的のタイプがどのくらいの割合で存在するか、
勝ち組とされる人の中での割合はどうか、本質的な目的を持つ人はいかにしてそれを持つに至ったか。
中々聞くのが難しいことだけれど。

フロー状態

日常的にフロー状態にある人は幸せとのこと。

そこで思い浮かんだのが途上国の屋台の料理人。
自分が何をやるべきかを完璧にわかっており、洗練された動き、没頭。
そしてたくさんのお客さんに求められている。
こういうところは大抵めちゃウマい。

同様に、職人系の仕事に就いている人でその仕事が合っているならば、日常的に幸せでい続けられるだろう。

(イメージ動画)

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脳の神経システムは違いを認識する

(幸せとはコントラストである、幸せを阻害するのは慣れ、とも)

例えば、安定を求めて結婚し、専業主婦になった人は始めは幸福だと思うだろう。
だが、ただ安定した変化のない人生はすぐ飽きる。
ある結婚関係の本にあったのは、そういう人は自己実現を目指してまた社会に出ていくらしい。
仕事ならいいが、お金を使って贅沢することで刺激を求め続けるようになると、
コストがかかり続け、本質的な幸せも得ることができない。
苦労はあった方がいい。その苦労への立ち向かい方は重要だ。
それを自分が求めるものではないと拒否し続けるのか、苦労をチャレンジや課題だと捉え、成長してベースが強くなると、常に幸福であり続けることもできるはずだ。

保守的な人は、変化のない何も起こらないことを求め、もし何か起こった際には強さがなければ立ち直りが難しくなるだろう。
それだけではなく、何も起こらないことは本当に満足した人生なのか、ということを問うてみるべきだと思う。
ただこういった人は元々弱さがあるので、これを認知することでさえ難しいことだとは思う。

脳の仕組みから、人生において大事なことに気づくことができる。

コウハウジングコミュニティー

デンマークのコウハウジングコミュニティーというのが紹介されていた。
複数の家族が一箇所に住み、家族の垣根なく、大人と子供が触れ合う。
毎日夕食は全員で囲み、暮らしの雑務やメリットを共有している。
これなら、便利さだけでなく、共同体感覚によって得れる幸福感も大きいだろう感じた。
核家族や子供の数の少なさは、親子の依存を生み、過保護や過干渉が多くなるだろう。
日本にもこういう形態のコミュニティーが普及することが必要だと感じる。

その他の脳科学

この映画では、人の幸福の5割は遺伝によって決まると言い切っている。
遺伝操作でもできない限り、幸せになりづらい人が存在するというのは恐ろしいとも思える割合だと感じた。
その内容には言及されなかったが、自分の知っている脳科学の知識によって少しは説明可能だと考える。

楽観性は遺伝する

これは最近の研究で出ていたが、楽観性は遺伝要因とのこと。
楽観性は幸福感に大きな影響を与える。

扁桃体は不安などを司る

不安にさいなまれたり、感情的に怒りやすかったりするのは、扁桃体が過敏になることで起こる。
これは遺伝するかは知らないが、トラウマや大きな悲しみなどを経験することで扁桃体が弱くなってしまう。

前頭葉は認知を司る

ある出来事に対してどう感じるかは大きく個人差がある。
例えば、自分が精神病になったことを絶対に他人に知られたくないと病院にも行かない人もいれば、
全く恥ずかしいことだとは思わず、その治療に前向きにあらゆる手を尽くせる人間がいる。
前頭葉がその認知を行っていて、これまで出来事に対してどう反応してきたかの積み重ねで変化していく。

神経伝達物質の分泌

幸せホルモンと言われるオキシトシンセロトニン、快楽物質のドーパミンなどは脳内の神経伝達物質である。
その出やすさにも個人差がある。

最後に

幸福とは主観的なものであり、自身を客観的に見てどうしたら良いのかを判断するのは難しいことだと思う。
この心理学や脳科学の理論を知った上で、常日頃から考えてみることで、認知を徐々に変えていくのが良いと思う。認知行動療法が手っ取り早い。